海外からの投資をめぐる北朝鮮の錯覚

写真拡大  デノミネーション(通貨単位の切り下げ)に失敗した北朝鮮が、経済難解消に必要な外貨(ドル)を確保するため、一部で開放に向けて動き出している。羅先経済特区を再び中国やロシアなどに開放し、新義州周辺の威化島とピダン島を中国と共同で開発するという話も聞かれる。韓国に対しては、金剛山観光の再開や開城工業団地の賃金引き上げなどを要求している。しかし、北朝鮮によるこれらの試みについて、安全保障関連部処(省庁)の関係者は、「すでに失敗したことが明らかになった、“国境近くにある地域の鉄条網を少しばかり開放すること”の繰り返しに過ぎない」と指摘する。 過去あるいは現在、北朝鮮で「経済特区」として指定されているのは、羅先、新義州、金剛山、開城の4カ所だ。これらは北朝鮮領土の東西南北の端に位置しており、いずれも鉄条網などで覆われている。特に羅先特区には、周囲に高圧の電流が流れる鉄条網が89キロにわたり設置されてある。金剛山にも観光許可区域を示すフェンスがあり、これをわずかに外れた韓国人観光客が、朝鮮人民軍に射撃され死亡するという事件(2008年)が起きた。治安政策研究所のユ・ドンリョル研究官は、「北朝鮮は黄色い風(資本主義の風潮)の流入は遮断しているが、ドルは手に入れたいため、いわゆる“蚊帳式開放”ばかりを進めてきた」と指摘する。 最近北朝鮮でみられる開放の動きも、従来の「蚊帳式開放」と何ら変わるところがないという。北朝鮮は羅先特区にある港を中国とロシアに貸し出しているが、外国人に対しては、「北朝鮮の法律を厳格に適用する」という趣旨の特区法を改正して対応している。新義州特区も、隔離し易い鴨緑江の島(威化島とピダン島)だけが開放地域として検討されている。韓国政府の関係者は「金剛山観光が再開されるか、あるいは開城工団の賃金が上がれば、北朝鮮はそれほど大がかりなことをせずともかなりの現金を手にすることができる」と述べた。北朝鮮は金剛山観光が行われた10年の間に5億ドル(約450億円)を稼ぎ、開城工団では毎年3000万ドル(約2700万円)から4000万ドル(約3600万円)を手にしている。 しかし、国境付近の限られた地域と鉄条網の開放だけでは、再び同じような失敗に終わりそうだ。高麗大学のチョ・ヨンギ教授は「北朝鮮の端にあたるこれらの地域は、人口がそれほど多くないため、外国企業が関心を持つような安い労働力の供給にも限界がある。また、電力や港などといった基本的なインフラもない」「北朝鮮は今も少しばかり扉を開けば、海外からの投資が集まると錯覚しているようだ」と述べた。アン・ヨンヒョン記者

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